要約
この主張は根拠不十分です。
根拠とされるのはSubstackに投稿された単一症例の主張で、査読論文ではなく、標準的手法での確認(複数染色や対照、第三者再現)も示されていません。
真偽度:
噂の概要
2025/8/17付の国内サイトが、「COVID-19 mRNAワクチンを妊娠中に接種した母親から生まれた3歳児の血液中に、アミロイド線維(プリオン様タンパク質)による繊維状血栓を発見」とする海外記事を引用・要約。出典はVigilant Fox/The Gateway Pundit等の拡散投稿。(出典1.2.3.)
妊娠中のmRNAワクチン接種によるリスクを示す可能性があるとして記載。
もとの“証拠”はKevin McCairn氏のSubstack。Substackとは。
内容は単一症例報告で、分析方法はThT染色と走査型電子顕微鏡(SEM)による測定。査読なし。
検証方法
1.根拠として提示されている情報を確認
国内記事→Vigilant Fox→McCairn氏Substack(症例の原典)を確認。
2.分析方法の妥当性を文献で確認
3.公的機関の見解を確認
検証結果
“単一症例の未査読記事”の信ぴょう性は?
McCairn氏のSubstackは査読なし単例で、検証の妥当性や再現性が不明。メディア記事(Vigilant Fox/Gateway Pundit)はこれを二次拡散しているに過ぎません。(出典2.3.)
評価:誤り/ミスリーディング
ThT染色法のみの検査方法は妥当?
2025年にThT染色法での偽陽性事例が報告され、2種類以上の染色法を用いることが推奨されています。(出典4.)
評価:誤り/ミスリーディング
公的機関の見解
ACOG(米産婦人科医会)は2025/5/6時点で、妊娠中接種の安全性と乳児保護効果を再確認。(出典5.)
WHOも「妊娠・授乳中の接種で安全性上の懸念は確認されていない」と明記(2024/10時点)(出典6.)
日本では2025年7月時点で制度・推奨の扱いが見直されつつあるが(妊婦を接種対象から削除の通知)、それ自体は“危険性の確定”を意味しない政策判断。希望者接種は可能との説明も併記されている。(出典7.)
総合判断
単一症例・未査読・検査方法の妥当性(ThT染色偽陽性リスクに対し、公的機関の一貫した安全性評価が優越。
よって「COVID-19 mRNAワクチンを妊娠中に接種した母親から生まれた3歳児の血液中に、アミロイド線維(プリオン様タンパク質)による繊維状血栓を発見」妊娠中のmRNAワクチン接種によるリスクを示す可能性があるとして記載された記事は、一般化できる証拠はないと判断します。
真偽度メーター
真偽度: =誤り(根拠不十分・誇張)
補足
Xでも拡散されています。ツイートの確認はこちら。
出典
- Total News World:コロナワクチン接種妊婦から生まれた幼児に、『異常タンパク質による血栓』が発見され全身に病が広がる | Total News World
2. THE VIGILANT FOX:RED ALERT: Doctors Sound the Alarm After Fibrous Clots Discovered in Young Children Born to COVID-Vaxxed Mothers
3. McCairn氏のSubstack:Amyloidogenic Fibrils in a Post-Gestational Case of mRNA Vaccine Exposure: Structural, Pathophysiological, and Biosecurity Perspectives
4. Mari Kishibe, Kaori Umekage, Hiroyoshi Nozaki, Tomoe Nakagawa, Kyoko Kanno, Akira Manabe, Akemi Ishida-Yamamoto, Potential thioflavin T false positives in lipomembranous changes in adipocytes during systemic amyloidosis diagnosis. J Dermatol. 2025 Jan;52(1):171-174.
7. 日本産科婦人科学会HP:https://www.jsog.or.jp/news/pdf/20250731_COVID19_ippan.pdf
